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ヘルシートーク MOA浜松クリニック病院長 医学博士 平出 光氏

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◆◇◆ 胃カメラの話 ◆◇◆

(杉浦睦夫氏のこと)


 昭和56年に、それまで30年の長きにわたり、わが国死因順位のトップに君臨してきた脳卒中を追い越して、死因の首位に踊り出たガンは、その後も増加の一途をたどり、20年経った今も、当分の間将来も、その座はいささかも揺らぐ気配が見られません。

 平成11年の人口10万対のガン死亡率は231.6、総死亡率は782.9ですから、実にその約3割を占めていることになり、時間的に言えば、1.8分に1人の割合で日本のどこかで、どなたかがガンで亡くなっていることになります。

 ところがこのガンもそれを臓器別に見た場合、著しい特徴を発見します。胃ガンの大幅な減少ぶりがそれ(特に男の場合にこの傾向は顕著)で、総ガン死亡に対して胃ガン死亡の占める割合が、昭和25年には58.2%だったものが、平成11年には17.4%、約1/3になってしまいました。これは食生活を始めとし、生活習慣の革命的変化もさる事ながら、早期診断技術の進歩によるものであることは、何人もこれを否定しうるものではなく、特にそのなかでも胃カメラは、いの内部から胃壁細部の状態を直接に見る事ができ、それを精密にフイルムに収め、的確な診断を下そうという画期的なものであって、どんなに高く評価しても、しきれるものではありません。

 ところで、全人類が恩恵をうけているこの胃カメラは、戦後間もない昭和24年に、3人の青年科学者によって開発されたものですが、その中心になった人物が投じ31才で、浜松市出身の杉浦睦夫氏でした。
 氏は大正7年3月出生。地元の中ノ町小学校、県立一中(現北校)を経て昭和13年に東京写真専門学校を卒業後オリンパス光学工業に入社、その後兵役に就かれ、17年に会社復帰、24年5月から胃カメラの研究開発に着手、25年11月に第1号を完成させたのですが、その間の詳細は吉村昭氏の「光る壁画」に詳しく書かれておりますので、お読み頂ければ幸いです。昭和61年8月26日没。享年68才。

 それにしても、と私は思います。氏の貢献度に比べて、その報われかたが余りにも小さいのはナゼか、ということであります。勲章、褒賞の類はもとより無縁で、僅かに昭和28と29年に、社団法人発明協会特賞と朝日新聞社賞の二つがあるに過ぎません。恐らく氏は名利など眼中にない、名人気質の方であったろうと想像されますが、だからと言って、それっきりにしてしまうことに、私は非常に抵抗を覚えるのであります。

 「水を飲む時には、井戸を掘ってくれたひとに感謝せよ」

 毛沢東の言葉?だったと思いますが、ガン統計を見ながら、私は杉浦睦夫氏の功績を、声を大にして訴えたいのであります。


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